【最新版】フリーランス美容師は税金の処理が大変?消費税からインボイス制度まで徹底解説

フリーランス美容師は個人事業主として一人で働くスタイルですが、美容室の従業員ではないため税金の処理を自分でしなければいけません。
税金の処理といわれると難しいと思う人もいると思いますが、支払う税金の種類やポイントを覚えておけば大丈夫です。
また、フリーランス美容師として働く場合に最近覚えておきたいのがインボイス制度の導入についてです。
インボイスは近々導入される予定の制度ですが、どんな制度なのか詳しく知っている人はあまりいません。
そこで今回は、フリーランス美容師の支払う税金について消費税からインボイス制度までまとめて解説します。

【消費税・所得税】フリーランス美容師が支払う税金の種類は?

フリーランス美容師が支払う税金の種類についてくわしく説明します。

フリーランス美容師として働くと税金はどうなる?

フリーランス美容師として働く場合、仕事上で発生した税金を支払わなければいけません。
税金によっては、いくつかの要素に当てはまれば控除が受けられることもあるので事前に確認しておきましょう。
フリーランス美容師の場合、美容師免許を取得して働くのが基本です。
美容師は課税対象になる70の業種の内の1つのため、個人事業税がかかるのを覚えておきましょう。
また、大抵の場合は国民健康保険と国民年金に加入するため、それらの税金がかかるのもフリーランス美容師の特徴になります。

フリーランス美容師になると毎年しなくてはいけないのが確定申告です。
確定申告は一年間の所得に応じて納税をすることを言います。
美容室の正社員として働く場合は雇用主が手続してくれますが、フリーランス美容師の場合は自分で税金を支払わなければいけません。
所得に応じて納税額が変わってくるため、きちんと申告するようにしましょう。
また、確定申告には期限があるので忘れないようにしてください。

フリーランス美容師が支払う税金の種類は?

フリーランス美容師が支払う税金の種類は次の通りです。

  1. 所得税
  2. 個人事業税
  3. 消費税
  4. 個人住民税
  5. 国民年金
  6. 国民健康保険

まず、所得税は所得に応じて金額が決まります。
所得とは収入に対して経費を引いた純利益のことです。
仕事でかかった経費を引いた額に税金がかかるため、経費を細かく計算することで節税対策ができます

フリーランス美容師の場合は個人事業税の対象です。
所得に対して5%の税率が課せられますが、所得が290万円以下の場合は免除されます。
経費計上によって290万円を下回ると免除となるため、経費の計算はしっかり行いましょう。

消費税は売上高が1000万円を超えた場合に納税が発生します。
1000万円以下なら売上時に一旦預かった消費税分が免除されますが、インボイス制度が導入された場合は消費税分の処理の仕方が変わる可能性があるので注意が必要です。

個人住民税は所得税に応じて決まります。
フリーランスの場合は確定申告に基づいて、各自治体から納付書が送られてくるので納期に応じて支払いましょう。

所得税には色々な控除がある!節税を考えるなら控除について学ぼう

税金は所得に応じて決まってくることが多いため、確定申告の際には節税対策をするのがおすすめです。
所得税には様々な控除があり、控除額を最終的に所得の合計から差し引いて計算します。
税負担を軽くしてくれるため、フリーランス美容師は確定申告前に控除の種類を確かめておきましょう。

控除は15種類もあり、それぞれ働き方などに応じて適用されるものが変わってきます。
また、所得に応じても控除額が変わってくるため経費計上がとても他大切になります。

控除の種類は次の通りです。

  1. 基礎控除
  2. 雑損控除
  3. 社会保険料控除
  4. 医療費控除
  5. 扶養控除
  6. 配偶者控除
  7. 配偶者特別控除
  8. 小規模企業共済等掛金控除
  9. 生命保険料控除
  10. 地震保険料控除
  11. 寄附金控除
  12. ひとり親控除
  13. 寡婦控除
  14. 勤労学生控除
  15. 障害者控除

フリーランス美容師の場合、自分が上記の15種類の控除のうちどれが当てはまるのかを事前に確認しましょう。

【業務委託・面貸し】フリーランス美容師の働き方によって支払う税金は変わる?

フリーランス美容師の働き方によって税金が変わるのか詳しく説明します。

フリーランス美容師は働き方によって支払う税金が変わるの?

フリーランス美容師は働き方によって支払う税金の額が変わります。
収入が少なければ、納める税金が少なくなったり免除になることもあるので事前に調べておきましょう。
経費計上しなければ税金が増えることもあるので、普段から領収書を保管しておいたり帳簿を付けたり準備しておくのが大切です。

また、自宅を仕事場にしている場合には固定資産税がかかったり、生命保険や地震保険に入っていると控除になったりと細かな違いがあります。
税金の種類や控除の種類を知っておかないと、予想よりも多く税金を支払うことになるだけでなく、余計に税金を支払う可能性もあるので注意しましょう。

業務委託で働く場合も同じように税金を支払わなければいけない!

業務委託とは美容室と業務委託契約を結んで仕事をする働き方です。
美容室に来たお客さんを相手に仕事をして、美容室から報酬をもらう働き方ですが通常の雇用契約とは違います。
サロンの中で働くため、従業員と混同されがちですが業務委託は正確には美容室のスタッフではありません。
フリーランス美容師のくくりになるため、業務委託で働く美容師も確定申告が必要です。

雇用保険や厚生年金、健康保険などがないため、業務委託で働く場合は国民年金や国民健康保険に加入するのが基本になります。
業務委託契約で働く場合は、各種手続きは忘れないようにしましょう。
また、確定申告が必要なので青色申告か白色申告のどちらにするのかも決めておくのがおすすめです。
開業届を出さなくてもペナルティはありませんが、青色で確定申告したい場合は早めに開業届を提出しておきましょう。

仕事場が自宅の場合は注意!持ち家の場合は固定資産税が必要経費に

フリーランス美容師の働き方は様々で、中には自宅を仕事場として利用している人もいます。
持ち家が仕事場の場合、固定資産税は必要経費になります。
原則として支払う税金の額が決まった日に経費になるため、支払いがまだでも経費での処理が可能です。
また、支払い日に経費処理をする方法もありますがどちらの方法を選ぶかによって今後も同じ方法を継続することになるので注意しましょう。
他にも、個人事業税や消費税、償却資産税、自動車税などが必要経費にできます。

ただし、自家用や仕事で使用しない建物や土地の税金は経費になりません。
あくまでも、仕事で使用したものが経費になるので覚えておきましょう。

【税務署・事業所得】フリーランス美容師にも税務調査はある?

フリーランス美容師にも税務調査はあるのかについてくわしく説明します。

フリーランス美容師にも税務調査ってあるの?

税務調査とは、納税者が正しく税務申告を行っているのかの調査のことです。
法人・個人を問わず納税者は所得などに応じて納税しますが、計算ミスや嘘の申告によって適切な税額が収められていないことがあります。
税務調査は不正行為や申告内容を確認するため、国税庁の管轄によって行われます。
個人事業主でも調査対象になるため、フリーランス美容師も税務調査の対象になる可能性があるので覚えておきましょう。

税務調査には強制調査と任意調査の2種類ありますが、普通に働いて納税していれば強制的に調査されることは基本的にはありません。
強制調査になる場合、対象者は脱税の疑いのある納税者です。
脱税額が大きく、隠ぺい工作をするなど極めて悪質だと判断された場合に国税局査察部が裁判所の令状を持って強制的な調査となります。
強制調査になると納税者は調査を拒否できないため、フリーランス美容師の場合は基本的にありませんが注意しておきましょう。

任意調査は税務署から電話で連絡が入り、訪問日時を決めてからの調査になります。
事前に電話がない場合でも、通知書で連絡があるので確認しておきましょう。
基本的に税務署の調査官に対し、正当な理由もなく帳簿や書類の提示に応じないことはできません。
調査を拒否すると罰則があるため注意しましょう。

フリーランス美容師の税務調査ってなにをするの?

フリーランス美容師の税務調査は基本的に任意調査となるため、事前に連絡があります。
連絡を受けて日時を決めたら、調査官による調査がされます。
調査の流れとしては、業務内容のヒアリングから売上、経費などの調査を事細かにされるので聞かれたことにはなるべくスムースに答えましょう。
また、帳簿や領収書を基に調査するため普段から帳簿を付けたり、領収書をきちんと保管しておくことが大切です。

とくにやましいことがなければ、税務調査は堂々と答えるだけで大丈夫です。
急な調査でも困らないように、普段から備えておくようにしましょう。

インボイス制度が導入されたらフリーランス美容師の支払う税金は増える?

インボイス制度が導入されたらフリーランス美容師の支払う税金は増えるのかについてくわしく説明します。

そもそもインボイス制度ってなに?いつ導入される予定なの?

そもそもインボイス制度とは、2023年に導入される予定の仕入税額控除を受けるための制度のことです。
正式名称は「適格請求書等保存方式」と言い、導入後には記載義務を満たした請求書によって消費税を計算して納付することになります。

記載義務の要件は以下の通りになります。

  1. 取引年月日
  2. 的確請求書発行の事業者の氏名または名称・登録番号
  3. 書類の交付を受ける側の氏名または名称
  4. 取引内容
  5. 適用税率と対価の額
  6. 消費税額

制度導入後はこれらの記載要件を満たした請求書を発行し、保存する必要があります。
これにより、消費税の処理の方法が変わるのがインボイス制度の特徴です。
個人事業主の報酬の場合、報酬には消費税が含まれているのが基本です。
現在、事業開始から2年未満の場合と年間売上1,000万円未満の場合は免税事業者となりそのまま消費税分を利益としてもらえます。
インボイス制度では、消費税の処理方法が変わるため消費税の請求ができなくなる可能性があります。
詳しく概要を知りたい場合は以下の国税庁サイトを確認してみてください。

(参考:【国税庁】インボイス制度の概要

インボイス制度ってフリーランス美容師にも関係があるの?

フリーランス美容師の場合もインボイス制度は関係あります。
現在、開業してから2年未満と年間売上1,000万円未満のフリーランス美容師は免税事業者として消費税分を免除されています。
消費税をそのまま報酬として受け取れるため免税事業者にとってはメリットだったのですが、インボイス制度ではこれが無くなるかもしれないので注意しましょう。

例えば年間所得が440万円だった場合、フリーランス美容師の場合は消費税が40万円です。
今は消費税分の40万円を免税事業者の場合はそのまま受け取れますが、インボイス制度が導入されると40万円の収入を受け取れない可能性があります。

インボイス制度導入後、消費税の請求は課税事業者でないと出来なくなるため免税事業者は消費税の控除申請が出来ません。
これにより、美容室と業務委託契約を結ぶフリーランス美容師は美容室から消費税分の収入を受け取れないかもしれません。
制度導入後は報酬にプラスして消費税分を請求できなくなり、免税事業者への消費税支払い控除の対象外になるため貰える金額が減る可能性が高いです。

扶養内でフリーランス美容師として働くときの税金はどうなるの?

扶養内でフリーランス美容師として働くときの税金についてくわしく説明します。

扶養内でフリーランス美容師として働くことはできる?

フリーランス美容師としての働き方は様々ですが、扶養内で働くこともできます。
例えば、シェアサロンや面貸しでフルタイムではなく短時間で働いたり、曜日貸しして働く人もいます。
また、業務委託で扶養内になるように計算しながら働くことも可能です。
ただし、業務委託の場合はサロンごとに契約事項が変わってくるため事前に確認しておきましょう。
また、フリーランス美容師が扶養枠内で働きたい場合、税法上の扶養と社会保険制度上の扶養によってそれぞれ所得制限が変わってくるので注意が必要です。

扶養内でフリーランス美容師として働くと税金ってどうなるの?

税法上の扶養は配偶者控除と配偶者特別控除があります。
前者なら納税者本人との合計所得金額が1000万円以下かつ配偶者の年間所得が48万円以下の場合に適用されます。
後者の場合、納税者本人との合計所得金額が1000万円以下なのは変わりませんが配偶者の年間所得の範囲は48万円~133万円です。
青色申告の特別控除を利用すれば、年収が300万円でも経費と控除額を足して年収から引いた額が所得になります。
控除額まで引いた額が133万円以下なら配偶者特別控除を受けられます。

フリーランス美容師は税金の支払いを忘れないように気を付けよう!

フリーランス美容師になると利益に応じて適切な税金を支払わなければいけません。
また、フリーランス美容師は毎年確定申告をする必要があります。
業務委託で働いてる美容師も確定申告は必要なので、フリーランスになる前に調べておくのもおすすめです。
フリーランス美容師は働き方によって支払う税金が変わってくることがあります。
所得税の場合はさまざまな控除があるので、税金対策をしたいなら上手く活用して節税できるようにしましょう。
税金を支払うのは義務なので、忘れないようにするのが大切です。
フリーランス美容師になったら、きちんと税金を支払うようにしましょう。

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