【2022年版】美容室の面貸し経営の注意点は?開業や経営のポイントを徹底解説

美容室の一角をフリーランスの美容師に貸し出す面貸しは年々需要の増えている働き方です。
面貸しはフリーランスの美容師の働き方の1つですが、美容室にとっても働き方の1つになります。
通常の美容室の経営とは違い、従業員を雇うわけでなく貸し出すサロンのスタイルはスペースの有効活用ができると興味を持っている人は多いです。

しかし、実際に経営するとなると料金システムや開業資金などの疑問が多くて困ることも少なくありません。
そこで今回は、美容室の経営の注意点や開業、経営のポイントなどをまとめて解説します。

【ミラーレンタル?シェアサロン?】美容室の面貸しサロンってどんなもの?

美容室の面貸しサロンの基本的な情報についてくわしく説明します。

美容室の面貸しサロンとは

面貸しとはサロンの一角をレンタルするシステムのことです。
美容室の場合はフリーランスの美容室に営業時間外や時間、月ごとにレンタルするのが基本になります。
フリーランスの美容師の働き方の1つで、時間に縛られずに働きたかったり、将来独立して店舗を持ちたい人に人気があるシステムです。

また、美容室にとってもスペースを有効活用できたり、人件費をあまりかけずに収入を得られるとして年々増えてきています。
面貸しの方法は様々で、美容室にお客さんが入らない時間帯や余っている席をレンタルすることが多いです。
美容室はスペースを活用でき、美容師は店舗を持つよりも安価にフリーで仕事ができるのが面貸しの特長になります。

面貸し(ミラーレンタル)とシェアサロンの違いは?

面貸しと同じようなシステムの中にシェアサロンがあります。
シェアサロンも美容室と雇用契約を結ばずに個人事業主として働く方法ですが、面貸しとは少し違います。

面貸しとは違うシェアサロンの特長は次の通りです。

  • 個室やスペースを共有することなく個人利用できる
  • 薬剤などは自前が基本

シェアサロンの場合、面貸しよりも個人的なスペースが広いのが特長です。
複数人でサロンを借りてシェアをするサロンのため、面貸しよりも更に自由度は高くなります。

また、面貸しの場合は料金に薬剤の料金が含まれていることも多いのですがシェアサロンは基本的に自前で用意します。
ただし、施術に使用する道具などもレンタルできることが多いので最低限の道具さえ持っていれば仕事ができるのも特長です。
フリーランスの美容師の働き方としては、面貸しよりも更に自由度が高くプライベートな空間がなるべく広い方が良い場合にシェアサロンは人気です。

業務委託とは違うの?面貸しとの違いを解説

業務委託もフリーランスの美容師の働き方の1つです。
ただし、業務委託は面貸しやシェアサロンと違って、個人ではなく美容室を訪れた顧客を相手に接客します。
面貸しとは違って集客の必要はありませんが、メニューの料金設定はサロンの設定料金だったり、勤務時間などがある程度縛られるのが特徴です。

また、基本的に売上は一旦サロンに入ってその中から分配されるのが基本になります。
売上や顧客がサロンに帰属している点が面貸しやシェアサロンとの大きな違いです。
集客に自信がなかったり、売上があまり見込めないけどフリーランスとして働きたい美容師に業務委託は人気があります。

【料金・働き方】面貸しの基本的なシステムは?

面貸しは基本的に設定した料金で美容師にスペースを貸し出すシステムです。
ただし、料金システムは美容室ごとに変わってきます。
レンタル料は報酬から何割か支払う歩合制の他、1時間○○円や1ヶ月○○万円など時間や月ごとに区切って料金を支払う方法が多いです。

歩合制の場合、契約する美容師の売上によって得られる料金が変わってきます。
売り上げの高い美容師の場合はまとまった金額を見込めますが、あまり売り上げのない美容師の場合は受け取る料金が少なくなります。

時間や月ごとの支払いは一定の金額を得られるため、比較的安定した収入を見込めるのが特徴です。
また、1時間ごとやひと月ごとなど短いスパンで細かく契約することもできるので、工夫すればさらに有効なスペース活用も期待できます。

【スペースを有効活用!】面貸しの美容室側のメリット・デメリットは?

面貸しの美容師側のメリット・デメリットについてくわしく説明します。

美容室側には面貸しのメリットってあるの?

面貸しサロンのメリットは美容師だけにあるわけではありません。
美容室側の面貸しのメリットは次の通りです。

  • スペースや時間を有効活用できる
  • 雇用契約を結ばずに収入を見込める

主なメリットは上記の2つです。

まず、一番のメリットとしては美容室の空いたスペースや時間を有効活用できることです。
美容室を経営する場合、稼働可能な従業員が不足していると美容室の維持費がかかって利益率を上げるのが難しくなります。
面貸しで空いているスペースを利用することで、従業員を雇わずに美容室の利益を上げられます。
また、定休日などに面貸しをする場合も効率的に利益を得られます。

2つ目のメリットはフリーランスの美容師とは雇用契約を結ばないため、人材育成や社会保険料などの人件費を省ける点です。
従業員を一人雇う負担をおさえつつ収入が見込めるのもメリットになります。

反対に美容室側の面貸しのデメリットは?

面貸しにはメリットだけでなくデメリットもあります。
美容室側のデメリットは次の通りです。

  • 面貸し契約をするための書類の準備
  • 美容師と契約することによるリスク
  • 他の従業員とフリーランスの美容師の不調和

まず、面貸しの契約をする際は請負契約になります。
税務署や労働基準監督署に対し、美容室は面貸しの契約をすることを証明するための書類を提出しなければいけません。
そのための手間がかかるのがデメリットの1つです。

2つ目と3つ目のデメリットは、フリーランスの美容師と契約することによるデメリットになります。
フリーランスの美容師とは従業員とは違い雇用契約を結ばないのですが、美容室内で働くことには変わりありません。
そのため、美容師が顧客とトラブルを起こすと美容室のブランドイメージが下がるなどのリスクがあります。

また、コンセプトのある美容室の場合は美容師の雰囲気が従業員と違い過ぎて美容室内の空気が不調和になることもデメリットです。
フリーランスの美容師を美容室内で働かせる場合、雇用契約を結んでいなくても美容室に影響を与えることを覚えておきましょう。
ただし、従業員扱いをすると雇用契約と判断されてトラブルに繋がることもあるので注意が必要です。
面貸しをする際、フリーランスの美容師との関係性に注意しつつ、利用契約を細かく指定することでトラブル回避を狙えます。

メリット・デメリットを踏まえて面貸しをする際に注意することは?

メリットデメリットを踏まえて面貸しサロンを経営する際、気を付けたいポイントは次の通りです。

  • 金銭トラブル
  • フリーランスの美容師との働き方
  • 開業前の手続き上のトラブル

まず、面貸しを経営する上で気を付けたいのが金銭トラブルです。
面貸しは歩合制やサブスクのような時間や月ごとの一定額の支払いになります。
料金システムは美容室ごとに違いますが、薬剤が料金に含まれていたり、報酬の何割を支払うのかが変わってきます。
この時、美容室側と美容師側に認識の違いがあるとトラブルに繋がることが多いです。

特に多いのが料金システムについてなどの金銭的なトラブルです。
また、利用規約についても言った言わないの水掛け論がトラブルに発展することもあります。
これらのトラブルを避けるため、契約書はなるべく細かく記載して美容師と一緒に利用規約や料金システムなどについて確認するのがおすすめです。

2つ目の注意ポイントがフリーランスの美容師との働き方についてです。
フリーランスの美容師はあくまでも個人事業主のため、従業員のように扱うのはNGになります。
もし、面貸しの契約を結んだ美容師に美容室の仕事を少しでもやらせると雇用契約だと判断されてトラブルに繋がることがあります。
面貸しはあくまでも場所のレンタルなので、フリーランスの美容師との距離感には注意しましょう。

最後の注意ポイントは開業前の手続き上のトラブルです。
面貸しサロンを開業する際、美容室を開業するのと同じように保健所などに許可を申請したり資格が必要になったります。
これらの準備を怠った場合、トラブルに発展することもあるので注意しましょう。

【保健所・管理美容師】面貸しサロンを開業する際に必要な許可や資格は?

面貸しサロンを開業する際に必要な許可や資格についてくわしく説明します。

面貸しサロンを開業する際に必要になる許可は?

面貸しサロンを開業する際に必要になる許可は以下の通りです。

  • 美容所登録
  • 開業届

まず、面貸しサロンを開業する際には保健所で美容所登録が必要になります。
美容所登録をする際には保健所に美容所開設届出書を提出しましょう。
登録には地域により費用は異なりますが、大体2,3万円かかると思っておきましょう。
美容所開設届出書は余裕をもって開業の2週間前までに提出しておけば、スムーズに開業準備を進めやすくなります。

2つ目の許可ですが、もともと美容室をやっているわけではなく新しく開業する際は税務署に開業届を提出しましょう。
開業届の場合は開業準備から1ヶ月以内に税務署へ提出する必要があります。
また、開業届の場合は美容所開設届出書と違って費用は無料になります。

面貸しサロンを開業する際に必要な資格ってあるの?

面貸しサロンを開業する際、必要になるのが管理美容師の資格です。
この資格は美容室で従業する美容師が常時2名以上になる場合に必要となります。
面貸しサロンの場合も通常の美容室と同じ美容所のため、管理美容師の資格が必要な場合は忘れないようにしましょう。

管理美容師免許を取得するためには、「管理美容師資格認定講習会」を受ける他に「衛生状況調査」を行う必要があります。
管理美容師認定講習会では公衆衛生についての講習が4時間、美容室の衛生管理の講習が14時間と必ず受講しましょう。

自治体ごとにタイミングが異なりますが、基本的に講習会は年に2回行われます。
応募期間や定員数などに注意してきちんと応募しましょう。
衛生状況調査は上記で説明した講習会で、公衆衛生と衛生管理の講習を合計18時間受講した上で受けられる調査です。
美容室の衛生状態の調査を行い、自治体に報告するのが主な内容になります。講習の成果があったと調査結果が出れば修了証書が交付されます。

面貸しサロンを経営したいなら、まずは開業前の準備が大切!

面貸しサロンを経営したい場合、まずは開業するための準備が大切になります。
必要になる許可や資格だけでなく、美容師と契約するための契約書やHP、料金システムの設定など準備することは様々です。
まずはどんな面貸しサロンにしたいのか考え、必要になる準備を書き出してみるのもおすすめです。

HP・料金システム】美容室の面貸しを開業する前に準備するシステムは?

美容室の面貸しを開業する前に準備するシステムについてくわしく紹介します。

美容室の面貸しを開業する前にHP(ホームページ)って必要?

面貸しサロンを開業する場合、集客のためには人に幅広く周知してもらうことが必要です。
そのためにはSNSを始める他、ホームページを作成するのもおすすめです。

HPを作成することで、面貸しサロンを探しているフリーランスの美容師の目にも止まりやすくなります。
また、HPを作成することで美容室の雰囲気や料金システムなどを詳しく知れるのも美容師にとってはメリットです。
HPの作成はCMSを使用するればテンプレートを設定するだけで、簡単におしゃれなデザインにもできるので利用してみてください。

開業前には下調べも大切!美容室の面貸しの料金システムの決め方は?

面貸しの料金システムは美容室ごとに変わってきます。
歩合制や時間または月ごとに一定金額を支払う方法のどちらにもメリット・デメリットがあります。
どちらが自分の経営する面貸しに相応しいのかしっかり考えるのが大切です。

また、面貸しの料金システムは高すぎても安すぎてもいけません。
美容室の立地によって集客率が変わってきたり、条件によっては儲けに繋がらないこともあるので事前に他の面貸しサロンを調べてみるのもおすすめです。

美容室の面貸しの契約書は事前に用意しておこう!

美容室の面貸しをする場合、事前に必要になる者の1つが契約書です。
契約書はトラブルを起こさないためにも必要ですが、トラブルが起きた時にも重要になります。
そのため、できれば作成後は弁護士などにチェックしてもらうのがおすすめです。
また、契約書のテンプレートを有料で作成してくれるサービスなどもあるのできちんとした契約書を作りたい場合は利用してみるのも良いでしょう。

【開業資金・家賃支援給付金】面貸しの開業・経営に必要な資金は?給付金は貰える?

美容室の面貸しの開業・経営に必要な資金や給付金は貰えるのかについてくわしく説明します。

美容室の面貸しの開業にかかる資金はどのくらい?

面貸しサロンの開業資金は新規に美容室を始めるのかや物件によって変わってきます。
もし、居ぬき物件で新規に開業する場合なら坪単価10万~20万くらいが内装費用になります。
ここから、HPや契約書などを有料で作るのかによって資金は前後していくと思いましょう。

スケルトン物件の場合なら内装費用がさらにかかります。
反対に現在すでに美容室を経営している場合は内装費用はかかりません。

美容室の面貸しは給付金って受けられるの?期限はある?

面貸しの場合も家賃支援給付金の対象になります。
ただし、対象者でも給付金を貰うためにはいくつかの条件があるので注意が必要です。
また、2022年1月現在はすでに給付事業は終了しています。
もしかしたら、新型コロナウイルス感染症によってふたたび給付の受付がされることもあるのでその時は経済産業省のHPをチェックしてみてください。

美容室の面貸しはトラブルに注意?経営する際のポイントとは

美容室の面貸しがトラブルに注意しつつ経営する際のポイントについてくわしく説明します。

面貸しを経営する際に気を付けたいトラブルは?注意するポイントとは

面貸しを経営する際に気を付けたいトラブルは次の通りです。

  • 契約上のトラブル
  • 雇用との区別でのトラブル
  • テナントオーナーとのトラブル

大まかに分けると上記の3つのトラブルが多いです。

契約上のトラブルについてはすでに説明した通り、金銭面や利用規約についてのトラブルが多いです。
これらを避けるためには、美容室側と美容師側が一緒に契約書を確認して納得した上で契約するのが大切になります。

雇用との区別でのトラブルでは、契約した美容師に美容室の仕事をやらせるなど従業員のように扱うことで起こります。
契約する美容師とはきちんと雇用している従業員との区別をつけるのが大切です。

3つ目のトラブルがテナントオーナーとのトラブルです。
美容室のオーナーとは別にテナントのオーナーがいる場合、きちんと事前に面貸しをする趣旨を伝えておくのが大切になります。
説明しないままだと、テナント契約をしている別の人に勝手に場所をレンタルしているとしてトラブルに繋がることがあります。

美容師とのトラブルを未然に防ぐポイントは?美容室側が気を付けることとは

面貸しで多いのが美容師とのトラブルですが、未然に防ぐために美容室側ができることはやっておきましょう。
契約書を分かりやすく作ったり、美容師の疑問や質問にはしっかり返答したりなど気遣いが大切になります。

また、美容師の立場になって契約書を作るのも必要になります。
事前確認をしっかりしておくことで、未然にトラブルを防ぎやすくなるので参考にしてみてください。

面貸しサロンを経営する際は事前の準備が大切!

美容室の面貸しサロンを経営する際、通常の美容室と同じように事前の準備が大切になります。
面貸しは従業員を雇用するわけではないため、フリーランスの美容師とのトラブルを避けるために気を付けることも多いです。
しかし、ポイントをおさえておけば未然に防げるトラブルも少なくありません。

また、開業する前にきちんと準備をしておけば経営も比較的スムーズに運びやすくなります。
今回紹介したことを参考に、美容室の面貸しサロンの経営を目指してみてください。

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